2013年9月29日日曜日

コンパス測量器の方位の精度

森林・林業界では牛方商会のコンパス測量器(レベルトラコン/トラコン/ポケットコンパス)がスタンダードです。コンパス測量器は磁石で方位を測るので、携帯電話を胸のポケットに入れていたりすると、測量結果が大きくずれてしまうという危険があります。近くに車を止めているだけで針が振れるし、トラックが近くを通過すると針が小刻みに動きます。コンパス測量器は周囲に電気や金属のない山の中でしか使えないんでしょうね。

島根大学三瓶演習林内にGPSの誤差を検証するためのテストコースを作っているのですが、精度が求められるのでGPS基準局を運用している座標既知点からトータルステーションでつなぐことで、その測量を行いました。ただし、トータルステーションでは方位がわからないので、方位だけはコンパス測量器を使いました。

しかし、どうしても測量結果にずれがあるように思われたので、二周波GPSを使って方位を検証してみました。コンパス測量器で下の写真のように262.0度くらいを指している場所で二周波GPSで検証したところ、260.4度が正しい値になりました。この場所は電線のある道路で日や時間帯によって最大1度くらいコンパス測量の結果がずれる地点です。もしかすると、近くの地中に電気設備があるのかもしれません。国土地理院が公表している偏角も実は場所によってかなり異なっているのではないかという疑いもあります。


こうなってくると方位磁石は当てにならないので、GPSコンパスに興味が出てきます。しかし、一般的なGPSコンパスは移動体に取り付けて、リアルタイムで方位を出力するもののようですね。それよりもむしろ長い基線を取って絶対的に正確な角度がわかるGPSコンパスが欲しいです。

そういう製品もあるにはあるようですが、上空が開けていないと精度はかなり悪くなるでしょう。お値段も相当高いのだろうなと思われ、やはり(昔のもので構わないので)二周波GPSで2地点を精密に測量することで方位を決めるのが現実的な方法ではないかと思っています。

2013年9月28日土曜日

バーテックスIV、高い

バーテックスIVというスウェーデンのHaglöf社の樹高測定器が日本の森林・林業界の標準になっていますが、最近の円安のせいもあってか、ついに20万円を超えるような国内価格になっています。

なぜこんな簡単な作りのものを日本企業は作ることができないのでしょうね?日本品質で作れば世界中で売れまくることは間違いありません。NIKONのレーザー距離計Forestry Proは価格もわずか4万円と安いのですが、残念ながら国内販売がなく(NIKONなのに)アメリカから輸入するしかありません。

おかげで日本の樹高測定器はスウェーデンのHaglöf社の独擅場となっています。実際、バーテックスIVは高性能で使いやすく、樹高のみならず距離や角度なども測れてとても便利です。

しかし、音波を使って距離を測っていることによる弱点があります。雨にとても弱いのです。この前も雨が突然降ってきたので、急いで仕事を終わらせようとしたのですが、雨の音によって距離が出なくなってしまい、最後は巻き尺を使って距離を測りました。また、近くで複数台のバーテックスIVを同時に使うと、正確な距離が出なくなってしまいます。

こんな弱点だらけの機械ですが、これに対抗できる国産品がないというのは本当に残念です。

Oregon 650のカメラ

Oregon 650はデジカメを搭載しています。昔の携帯電話程度の安っぽいデジカメユニットだろうと期待はしていなかったのですが、実際に使ってみると想像していたよりもはるかにきれいな画質です。

GPSレシーバーの液晶がそれほどきれいではないので、画質のよさを体感するには一度パソコンに画像ファイルを転送する必要があります。下の写真は島根県益田市匹見町で見せてもらった伝統的な渓流式ワサビ田です。カメラ機能で定評のあるiPhoneクラスの画質ではないかと思います。


GPSユニットに搭載されたデジカメなので、当然のように位置情報が付加されています。デジカメの画面でも撮影場所を確認することができるようになっています。


最近は通信、デジカメ、GPSが一帯になった携帯電話のような端末がほとんどです。GarminのGPSレシーバーに通信機能が付加されたら強力な端末になるのでしょうが、逆に言えば、それは携帯電話とデジカメとGPSの区別があいまいになってきていることを意味しており、単体でのデジカメやGPSの存在意義が問われることになるでしょう。

Garmin GPSが出力する三つの高さ

TKA Planetで購入したOregon 650をPOI25000で日本語化して快適に利用しています。しかし、このGPSレシーバーが出力する高度(Elevation)、GPS高度(GPS Elevation)、地上標高(Elevation Above Ground)という三つの高さはそれぞれ何なのかと疑問を持ちました。


GPS高度というのは衛星によって計算された標高のようです。WGS84の楕円体高ではなく、ジオイド高を引いた標高が表示されているように見えます。ただし、GPSレシーバーの内部に詳細なジオイドモデルが搭載されているとは思えず、おそらくは全世界をおおざっぱにカバーしたものでしょう。GarminのGPSレシーバーが表示するこの標高はぜんぜん正確ではないのですが、このジオイドモデルがおおざっぱであるがゆえだろうと思っています。

高度というのはGPSレシーバーに内蔵されている気圧計を使って推定された標高を表示しているようです。それゆえ、標高のわかっている場所で補正を行わなければ、GPS高度以上に使えない、きわめていいかげんな標高値しか表示されません。しかし、一度補正を行えば、その後しばらくはGPS高度よりも正確に標高を表示できます。

とはいえ、電源を落とすと気圧計の補正値はリセットされてしまうようで、またどこかで補正を行わなければなりません。等高線の入った地図を背景図として入れているならば、そこから標高値を読み取ればいいのですが、そういうことをするのも結構面倒くさいです。ジオイドモデルがおおざっぱなので、その代わりに気圧計を使っているのでしょうが、そんなことをするより詳細なジオイドモデルを入れられるようにすればいいのにと思っています。

最後に地上標高というのは、(気圧計を使った)高度と地図の持っている標高値の差によって求めているようです。TKA Planetの地図を入れていると10m単位で変化するようなので、この地図は10m単位で標高値を持っているのではないかと思われます。TKA Planetの地図を入れなければ地上標高はいつも0mになっているようです。

このGPSレシーバーへの不満としては時刻が秒単位で表示できないというのがあります。私は仕事上の都合で秒単位の時刻を必要とすることが多いので、分単位の時刻しか出せないのは困るのです。GPSレシーバーがあれば電波時計はいらないはずですが、最近はわざわざ持って行くこともあります。Garminの昔のGPSレシーバーは秒単位で時刻を出すことができたように思うんですけどね。

2013年9月23日月曜日

eTrexの英語版と日本語版の違い

Garminの英語版eTrex 20といいよねっとの悪名高い日本語版eTrex 20Jと両方使っていますが、前者もTKA PlanetのPOI25000を使うとメニューは日本語表示になります。

日本語版eTrex 20Jはみちびき対応なのですが、TKA Planetの販売している英語版eTrex 20もついにみちびき対応になりました。英語版の方がファームウェアの更新が頻繁で、日本語版は英語版よりも遅れて更新されます。今ではわざわざ高価な日本語版を買う意味はなくなってきているように思われます。

ただ、いいよねっとの「純正」日本地図を使うときは、POI25000による日本語化では地図の中の文字が表示できないようです。

日本語版eTrex 20Jには細かいところで英語版よりも改善点があります。例えば、現在地の座標の表示なのですが、英語版はdddmmss.sなのに日本語版はdddmmss.ssまで画面に表示されます。ウェイポイントを登録するとき、日本語版だとメモ欄に自動的に日付と時刻が入ります。

下の写真の左は英語版(POI25000で日本語化)、右は日本語版です。メモ欄の日付・時刻と座標の桁数が確かに違います。日本語版にはわざわざ「eTrex 20J」と「J」の文字まで入っています。

 

通常の英語版に日本語を最初から入れてくれたらいいのに、どうして日本語版だけコストをかけてこのように特殊な仕様にするのかなと疑問に思っています。

2013年9月22日日曜日

eBayで充電器を買ってみた

Trimbleの昔のGPSコントローラーTSC1のバッテリーのセル交換をして使えるようになったので、今度はeBayでバッテリーの充電器を買ってみました。eBayにはTrimble製品やその互換製品がたくさんあってとても楽しいのですが、これまで一度も使ったことがなく、うっかりして即決価格で買ってしまったようです。

しかし、送料込み5,000円くらいでこのバッテリーの充電器が買えるというのはたいへんお得なのです。商品は中国から送られてきました。荷物はこちらから追跡できるので、到着まで安心できました。


早速TSC1のバッテリーを充電してみたのですが、バッテリーを充電台にのせて奥まできっちり差し込むと緑色のライトが点灯し充電完了状態になってしまうので充電が行われません。バッテリーを中途半端なところまで差し込むと赤色のライトが点灯して充電が始まりました。


いい買い物ができてよかったです。どうか壊れませんように。

2013年9月21日土曜日

測位に必要な最低衛星数

GPSによって三次元空間で位置が計算できる最小衛星数は理論的には3個ですが、時計の誤差を修正する必要があるので4個というのが一般的です。

しかし、最近はMSASやらGLONASSやら準天頂衛星(QZSS)といったアメリカのGPS以外の衛星も利用することが多いため、これらを含めて何個衛星があればいいのかという疑問がTrimble Pro 6Hを使っている間に気になってきました。

ティンバーテックにお尋ねしたところ、Trimble Pro 6Hで測位に必要な最低衛星数はやはり4個で、MSASはその数にカウントされないということでした。GPS衛星3個とGLONASS衛星1個でも測位は可能ですが、GPS衛星が2個でGLONASS衛星が2個では測位できないそうです。

GarminのMSAS・GLONASS・QZSS対応機はどうなんでしょうね?私もそうなのですが、こういうことは意外に知らない人が多いのではないかと思っています。

2013年9月19日木曜日

Trimbleの製品の日本語

Trimbleの製品の日本語はいったいどこのバカが翻訳したんだろうというひどいもので、日本人として読むに耐えません。森林関係者がよく使っているデータ処理ソフトウェアPathfinder Officeの日本語もでたらめなので英語版をインストールしています。

しかし、Differential CorrectionとData Transferは外部プログラムを参照しているようで、意に反して日本語のままになっています。Data Transferはデータを転送するだけなので問題ないのですが、Differential Correctionは複雑かつ微妙なので、言葉の意味がわからないのは致命的です。

日本語で出力されたディファレンシャル補正の結果の例がこれです。

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基準局ファイルを検索中...
ファイルC:\Users\koro\Documents\GNSS
Projects\Sanbe20130912\Base\Akagi\03872550.13o.gz (1 of 2)が局所的に見つかりました。
ファイルC:\Users\koro\Documents\GNSS
Projects\Sanbe20130912\Base\Akagi\03872550.13n.gzがダウンロードされました。
ファイルを転送できません。
ftp://terras.gsi.go.jp/data/GPS_products/2013/255/03872550.13g.gz からファイルをダウンロードできません。
2 の 3 ファイル検索に成功しました。
検索終了

--------基準局データ詳細:--------------------
基準局プロバイダーからの基準位置を使用:
  名前: Akagi
  位置: 35°01'11.18820"N、 132°43'13.80770"E、 473.97 m
ソース: C:\Users\koro\Documents\GNSS Projects\Sanbe20130912\Base\Akagi
  03872550.13o.gz
    現地時間: 2013/09/12 8:59:45 ~ 2013/09/13 8:59:15
    位置: 35°01'11.19293"N、132°43'13.83663"E、471.20 m、0.00 m アンテナ高
    基準局プロバイダからの距離: 0.75m

--------カバレージ詳細:--------------------
移動局ファイル: R1.SSF
  現地時間: 2013/09/12 14:37:20 ~ 2013/09/12 14:42:45
100% 補正範囲の合計
  03872550.13o.gz による 100% カバレージ

--------------------------------------------------
ディファレンシャル補正中...
  ディファレンシャル補正の設定:
    スマート自動フィルタリングを使用する: オン
    リアルタイム測位の再補正: オン
    出力ポジション: 補正済みのみ

--------------------------------------------------
移動局ファイル R1.SSF の処理中...
出力ファイル C:\Users\koro\Documents\GNSS Projects\Sanbe20130912\R1_3.cor へ
    搬送波処理中 ...
        後処理用に 310 ポジション を選択
        210 ポジション を補正しました。
        100 ポジション の補正に失敗しました。
            この中の 101 個は、衛星数不足のためにポジションを確定できないのが原因です。
    コード処理中 ...
        後処理用に 310 ポジション を選択
        309 ポジション を補正しました。
        1 ポジション の補正に失敗しました。
    搬送波解でなく 189 コード解を選択しました。
        189 コード解の質はより優れています。

--------------------------------------------------
ディファレンシャル補正サマリ:
    1 ファイルが処理されました。 このファイルには:
       310 の選択したポジションのうち  309 (99.68%) は後処理補正されたコードです。
        310 の選択したポジションのうち  210 (67.74%) は後処理補正された搬送波です。
       質が高いので、搬送波の代わりに 189 (90.43%) のコードポジションが選択されました。

    310 個の未補正ポジションに対する予想精度は以下の通りです。:
            範囲 パーセント
            ---------- ----------
              0-5cm      -
             5-15cm      -
            15-30cm      -
            30-50cm      -
             0.5-1m 3.23%
               1-2m 41.61%
               2-5m 24.19%
                >5m 30.97%

ディファレンシャル補正完了。

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「100ポジションの補正に失敗しました。この中の101個は、衛星数不足のためにポジションを確定できないのが原因です。」とかありえないだろ!と怒鳴りたくなりますが、日本語の問題はもっと深刻です。

「310 個の未補正ポジションに対する予想精度は以下の通りです。」とありますが、なんで未補正なのかと疑問に思っていました。英語版ではここは「Estimated accuracies for 310 corrected positions are as follows:」なのです。「未補正」ではなく「補正後」と書いてあります。どうしてこういう日本語訳になっているのでしょうね?

「予想精度」というのも気に入らないです。予想という言葉には競馬の予想のように、根拠となるものが曖昧で当てずっぽうな雰囲気を感じます。何らかの根拠に基づいて計算された結果なら予測という言葉を使って「予測精度」とすべきです。

こんなのを放置しているニコントリンブルは残念すぎてどうしようもないですが、販売店のティンバーテックが完璧なサポートをしてくれるので、このわけのわからないソフトがなんとか使えているような状況です。

ディファレンシャル補正を英語化する方法もティンバーテックに教えてもらいました。これでやっとメッセージの意味がわかるようになりました。

C:\Program Files (x86)\Trimble\GPS Pathfinder Office

というWindows 7のフォルダ内にある下記ファイルを別フォルダへ移動すればいいとのことでした。

PFOCorrectAppRes.dll
PFOCorrectCommonRes.dll
PFOCorrectControllerRes.dll
PFOCorrectRes.dll
PFOCorrectUIRes.dll

他にもいろいろ教えていただき、ありがたくて涙が出そうです。実はTrimbleのGPS製品は、上手に使いこなせば森林環境においてこれ以上はないというパフォーマンスを発揮する優れものです。あれこれうるさい私が常用しているのは、ほぼTrimbleとGarminだけです。日本語によるフォローをしっかりやれば、もっとたくさん売れるのに、どうしてしないんでしょうね?

2013年9月16日月曜日

GPSのテストサイトを作っています

GPSに関する研究をするためには森林内に正確な座標既知点が多数あるテストサイトが必要です。しかし、森林内では高精度な二周波受信機を使うことが困難であり、使えたとしても精度が出ないという問題があります。

この問題の対策としては空が開けた場所で二周波受信機を使って測量を行い、ネットワーク解析で座標がわかった後、そこからトータルステーションで点と点を結んでテストサイトを作っていくという方法が考えられます。

トータルステーションの誤差はミリ単位なので、これなら一周波GPSの誤差を検証するのに使えるテストサイトを作ることができるはずです。しかし、理論的には可能であっても実際にやってみるとできないことは世の中にはたくさんあります。

この場合も林地は足場が悪いので、トータルステーションを水平に安定させるのが難しく、どうしても誤差が大きくなってしまうのです。しかし、今回は何度も何度もテストサイトを設置する島根大学三瓶演習林に通い詰め、ついに閉合比1/1,137を達成しました。

テストサイトの方位はコンパス測量器を使って決めました。磁北から国土地理院の公表している西偏値を引いてはいますが、その値自体にどのくらいの精度があるのか確信を持てないでいます。これについては今後検証してみたいと思っています。

2013年9月15日日曜日

eTrex 20Jでみちびきを受信

いいよねっとが販売している日本語版のGarmin eTrex 20Jはみちびきの信号を受信できるようになっています。

といっても、現状ではみちびきの補完信号しか使えないので、上空にGPS衛星が1個増えただけという効果しか期待できませんが、仰角の高い位置に確実にGPS衛星があるというのは森林測量においては心強いです。

今日は島根大学三瓶演習林でeTrex 20Jのみちびき信号受信を確認してみました。193番のみちびきの信号が受信できていることがわかります。

 

ここでちょっと気になったのは、みちびきの受信のオンとオフを切り替えるメニューが見当たらないことです。そういうのを必要としている人はふつうはいないのでしょうが、みちびきの補完信号の効果を検証したかった私としてはうれしいことではありません。

さて、準天頂衛星は今のところみちびき1機しか飛んでいないため、1日のうちでその信号が受信できる時間は限られています。QZ-radarで調べてみたところ、みちびきの仰角が75度を超えるのは14時過ぎから22時過ぎくらいです。この時間帯は日々早まっているので、これからみちびきを使うにはちょうどいい時期になってきます。

2013年9月14日土曜日

Magellanの後処理DGPS対応機

TrimbleのGPSが最近円安を背景に値上がりして、マッピング機がずいぶん高くなってしまいました。もう少し安いマッピング機があればいいのにと思っていますが、適当なものがなかなか見つかりません。

GISに使われるマッピング機と単独測位のナビゲーション機の橋渡しができそうな機種には、日本でジオサーフが販売しているeXplorist Pro10があります。この機種はGISデータを収集できることが特徴なのですが、MSASによる補正のみしか対応していません。

森林環境ではMSASはほとんど使えないことがこれまでの経験から明らかになっており、後処理ディファレンシャル補正がなければGISデータの収集は無理だと思われます。

しかし、Magellanのサイトを見るとeXplorist Pro10はEZSurvという後処理ディファレンシャル補正を行うソフトウェアとバンドルして販売されているようです。価格は1,499ドルなので、Trimble製品とは比べものにならないほど安いです。

eXplorist Pro10のチップがSiRFstarIIIなので、後処理ディファレンシャル補正を行ったとしてもたいして精度は上がらないのではないかと思われます。ただ、こういうのはやってみないとわからないのが世の常で、やってもいないのに無理だとは言えないです。ぜひとも一度やってみたいです。

2013年9月13日金曜日

みちびき対応英語版Garmin GPS

GarminのGPSの専門店TKA Planetがみちびき対応の英語版Oregon 600/650、eTrex 10/20/30を販売しています。


これまでも英語版のGarmin GPSでみちびきが使えたという報告がインターネット上にありましたが、どうも正しく受信できてはいなかったようです。いいよねっとの「ガーミンGPSよくある質問」には以下のようなQ&Aも出ていました。

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「みちびき対応」を謳っている並行業者がいますが、本当ですか?

みちびきがGPS測位に使用されるのはNo.193の衛星のみです。衛星状態ページにNo.255等表示されていてもGPS補完信号としては使用されていません。

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しかし、TKA Planetの場合は写真を見ると「193」番の衛星が受信できており、どうやらみちびき対応は本当のようですね。

ただ、(勝手にこんな改造して販売してもいいの?というのはもちろんですが、それはさておき)私には一つ疑問がありました。「ファームウェアのアップデートなどでみちびきが使えなくなることはないのか?」というものです。

TKA Planetに問い合わせたところ、「現在のところ、ファームウェアの更新作業等でみちびきが受信出来ない状況になることはございません」というもので、「現在のところ」というのが気にはなりますが、ファームウェアのアップデートとは関係のないところをいじっているのではないだろうかと思いました。

TKA Planetの販売している一部の英語版Garmin GPSのメニューは日本語化ができるのもいいですね。一台買ってみようかなと思っています。

Trimble製品の内外価格差

Trimble製品はアメリカで買うと安いのに日本だとものすごく高いです。送料なんてたいしたことないのに、どうしてこんなに大きな内外価格差が発生するのか私には理解できません。最近円安になったため、Trimble製品は大幅値上げになったようです。Trimble Proをもう一台買いたかったのですが、夢となってしまいました。

アメリカのTrimble製品の価格はTrimble Storeを見るとだいたいわかります。

Trimble Pro 6H Receiver with Floodlight $5,400
Trimble Pro 6T Receiver with Floodlight $3,450
Trimble Pro 6T Receiver $2,700

GeoXH handheld (standard edition, with Floodlight)  $7,695
GeoXT handheld (standard edition, with Floodlight)  $5,745
GeoXT handheld (standard edition) $4,995

Trimble Juno 3D Handheld $1,099
Trimble Juno 3B Handheld $799

GPS Pathfinder Office software $1,995
1 year Software Maintenance extension $295
2 year Software Maintenance extension $390

TerraSync Professional software $1,295
TerraSync Standard software $295


いかがでしょうか?一部の製品は日本の方が圧倒的に高いと思います。Trimble Storeはもちろん日本には発送してくれません。どこかに並行輸入業者が現れてくれないかなと思わなくもありません。


さて、オプション・パーツ類を含むTrimble製品やその互換製品がeBayでは格安で売られています。もちろん、型落ちの古い中古品ばかりですが、見ているだけでよだれが出てきそうです(笑)。

Trimble Pro 6Hを実戦投入

Trimble Pro 6Hを島根大学三瓶演習林で初めて実戦投入してきました。この機種は森林測量のために作られているとしか思えないほど、森林環境における衛星の捕捉能力が高くよくできています。



もっとも、樹木のないところで測量をするならば2周波受信機を使えばいいわけで、Trimble Pro 6Hのような高性能な1周波受信機は今どき森林測量くらいしか用途はないようにも思われますね。

Trimble Pro 6HとPathfinder 3D(TerraSync Professional)はBluetoothで接続しました。昔のBluetoothはたびたび接続が切れて使いものにならなかったのですが、 この機種では一度も途切れることはありませんでした。Bluetoothも確実に進化を遂げているようですね。

Trimble Pro 6Hの特徴はMSASを受信しているときはGLONASSの衛星を捕捉せず、MSASを受信していないときだけGLONASSの衛星を使うというものです。MSASを受信しているときはGLONASSを使わないので捕捉衛星数が4個以下になって測位不能になることが時々ありました。

しかも、この最新機種をもってしてもMSASは森林内では受信できないことがとても多く、MSASによる補正はほとんど期待できません。このようなMSASに関係する部分がこの機種の唯一に近い弱点だと思いました。

Trimble Pro 6Hはすべての森林測量関係者に一押しなのですが、このブログに前に書いたように、マニュアルが不十分で高度な機能を使いこなすための情報がほとんど存在しません。逆に言えば、MSASの受信とマニュアル以外は特に問題が見つからないということになるでしょう。

Trimble 4700で測量

Trimbleの4700というずいぶん昔の2周波GPSレシーバーを持っているのですが、バッテリーがへたってしまって使えなくなっていました。しかし、このクラスのGPSレシーバーは昔のものでも今と本質的な機能の差はないし、今でも十分使えるはずなので、もったいないです。

この前リセルオンラインでバッテリーのセル交換をしてもらって、このGPSレシーバーがまた使えるようになりました。TSC1コントローラーのバッテリーを最初にセル交換していましたが、続けて4700を駆動するカムコーダーバッテリーのセル交換もしてもらい、万全の状態になっています。カムコーダーバッテリーの方はセル交換だったのに、届いたものはバッテリーの外装も新しくなっていて新品のようでした。


下の写真は島根大学三瓶演習林で4700を使った測量をしているところです。アンテナを立てるためにはプリズムポール用の三脚を使うのが便利で、最近はこればかり使っています。測量するポイントは杭ではなく、コノエネイルNo. 7(釘)とコノエダブルNo. 3(ABS樹脂製の印)を地面に打ち込んでいます。

杭だと地面に打ち込むのが難しかったり、誰かに飛ばされて紛失したりということがたびたび発生しますが、コノエネイルとコノエダブルであればそのような心配がほとんどなく、釘の中心には赤い十時があるので測量の精度も上がり、たいへん便利に使っています。



2013年9月6日金曜日

Trimbleバッテリーのセル交換完了

TrimbleのGPSレシーバーやコントローラーのバッテリーはとても高価です。アメリカではずいぶん安く売られているのに日本では高いんですよね。

それなのに、あっさり過放電で使えなくなったりするので困っています。長期間使わないときのバッテリーの保管方法もバッテリーの種類によって様々で、しかもそれがどこにも書かれていなかったりするのはどうしたことなのでしょうか?

新しいバッテリーを買うお金もないので、このほど下の写真のバッテリーをまとめてリセルオンラインというバッテリーのセル交換をしてもらいました。今のところ正常に動いており、新規に買うよりもかなり安かったので大満足です。


Trimble製品を買うときは、バッテリーが交換式になっているものを選ぶのが鉄則です。過去のGeoExplorerシリーズのようにバッテリーが内蔵されていて、メーカーに送らないとバッテリー交換ができないような機種は、バッテリー交換に途方もないコストがかかるので絶対に買ってはだめですね。

その点では私はiPhoneもあまり好きではありません。どうしてバッテリーを着脱式にしてくれないのだろうかと不満に思っています。

2013年9月5日木曜日

中国でGPSを使ってみた

シルクロードへの興味が高まって、このたび中国の西安へ行ってきました。西安はかつて長安と呼ばれた都で、日本から遣唐使が派遣されていた街です。関西空港から北京で乗り継いで飛行機に乗っても1日がかりで到着という長い距離を、かつて海路と陸路で往復していた遣唐使に思いを馳せていました。今では北京から西安まで「新幹線」だと5時間半で行くこともできます。

最近海外旅行に行くときはGPSを持って行くことにしています。しかし、中国ではGPSを使うことは禁止されていると言われています。日本の外務省のサイトにも「GPSを含む「観測機器」の無許可使用は中国の法令(測量法)違反となり、逮捕される可能性があります」と書かれています。

とはいえ、中国製のカーナビは街中で売られているし、GPSが搭載されたiPhoneなどのスマートフォンは多くの中国人が使っています。おそらく、目立たないように使っていれば大丈夫でしょう。もちろん、運が悪ければ警察に捕まるリスクは考えておいた方がいいでしょう。好きな言葉ではありませんが、いわゆる「自己責任」というものです。

今回はGarminのGPSレシーバーに「MapSource CityNavigator 中国 microSD/SD版」を入れていきました。ところが、地図上に表示されている位置が明らかにずれているのです。おおよそ、西に500m、北に100mくらいずれているように見えました。せっかく高いお金を払って地図を買ったのに、全然使い物になりませんでした。


一方、「Free maps for Garmin brand GPS devices」からダウンロードしたフリーの地図を使うとずれは発生しませんでした。


インターネットには、AndroidのGoogle地図でもずれが生じるという情報がありますが、この問題は最近改善されたのか、ホテルの位置が正しく表示されていました。


中国における地図のずれの原因をあれこれ検索したところ、どうやら中国の測地系(GCJ-02)がGPSの測地系(WGS-84)と違うことに加えて、中国政府が国家安全保障上の理由で誤差を混入して暗号化しているようです。インターネットに中国語の情報があるのですが、よくわからないので自動翻訳してみました。

「国家保密插件,也叫做加密插件或者加偏或者SM模组,其实就是对真实坐标系统进行人为的加偏处理,按照几行代码的算法,将真实的坐标加密成虚假的坐标,而这个加偏并不是线性的加偏,所以各地的偏移情况都会有所不同。而加密后的坐标也常被人称为火星坐标系统。所有的电子地图所有的导航设备,都需要加入国家保密插件。第一步,地图公司测绘地图,测绘完成后,送 到国家测绘局,将真实坐标的电子地图,加密成“火星坐标”,这样的地图才是可以出版和发布的,然后才可以让GPS公司处理。第二步,所有的GPS公司,只要需要汽车导航的,需要用到导航电子地图的,统统需要在软件中加入国家保密算法,将COM口读出来的真实的坐标信号,加密转换成国家要求的保密的坐标,这样,GPS导航仪和导航电子地图就可以完全匹配,GPS也就可以正常工作。」

National security plug-in, also called partial encryption plug-ins or add or SM module, in fact, the real coordinate system plus partial artificial treatment, according to a few lines of code algorithm, the real coordinates encrypted into a false coordinates, and the plus side the plus side is not linear, so the excursion around will be different. The encrypted coordinates are often called Mars coordinate system. All electronic map all navigation devices, you need to join the national security plug-ins. The first step, Map Company mapping maps, mapping is completed, sent to the National Mapping Agency, the actual coordinates of the electronic map, encrypted into "Mars coordinates", such a map is to be published and distributed before the company can make GPS treatment. The second step, all GPS companies, car navigation as long as necessary, the need to use the navigation electronic map, all need to join the national security in the software algorithm, the COM port to read out the coordinates of the true signal, encryption converted into national requirements confidential coordinates so, GPS navigation systems and navigation electronic map can be fully matched, GPS also can work properly.」

 Googleの地図で現在地が正しく表示されているのは、中国政府の管理下で座標の補正が許されているからと考えてよさそうです。こちらにも中国でGPSの位置がずれる問題に関する記述があるので、参考にして下さい。