2014年11月11日火曜日

準天頂衛星(L1-SAIF信号)を使った測位試験

準天頂衛星の補強信号であるL1-SAIF信号を使った試験をやったのですが、スギ人工林内では測誤差を小さくする効果はほとんど見られませんでした。

準天頂衛星の信号は天頂方向から地上に届くのでふつうに考えればスギ人工林でも周囲の傾斜に関係なしに確実に受信できそうに思われますが、なぜなのでしょうか?

実は準天頂衛星の信号は最も測位環境として厳しいと考えられるスギ人工林内でも確実に受信できていました。しかし、周囲の立木の影響を受けてしまい、その効果がわからないほどに大きな誤差が生じてしまったのです。

この実験ではコア社のCD311という機種を使っているのですが、マルチパスを除去するなどといった機能がないため、森林内では全く補正効果が現れません。そこで、マルチパス環境で威力を発揮してくれそうなTrimbleのHurricaneアンテナをつけて島根大学構内の街路樹の下でゆるい試験をしてみました。


CD311を2台使って、一方は最初からついていたANT-555という台湾製の安っぽいアンテナ、もう一方はHurricaneアンテナを使っています。高価なHurricaneアンテナをなぜ持っていたのか自分でも全然覚えてないのですが、昔買ったことを忘れていたような気がします(笑)。

その結果が下のようになっています。上がANT-555アンテナ、下がHurricaneアンテナです。



棒グラフの上の数値がSN比なのですが、Hurricaneアンテナの方が高くなっています。測位点のちらばりもHurricaneアンテナを使うとだいぶん小さくなっていました。このようなゆるい試験では確かなことはなんとも言えませんが、少し可能性が見えてきたと思ってます。

2014年11月10日月曜日

自動車の速度計は間違っている?

自動車にカーナビを取り付けていると、走行速度が表示されるのではないかと思います。その数値が自動車の速度計と異なっていることに気づいた人は多いのではないでしょうか?GPSは誤差があるので速度もあてにならないと思われたかもしれませんが、正しいのはGPSの速度です。


GPSが速度を計算するアルゴリズムは個々のメーカーによってノウハウがあると考えられ、それが公開されていない以上どうなっているのかはわかりません。しかし、基本的には一定時間内に移動した水平距離をその時間で割っていると思われます。

高速で移動している場合には水平距離が長くなるので、GPSの数メートルの測位誤差は吸収されてしまい精度の高い速度が出ていると思います。ゆえに、高速な自動車であれば正しい速度がわかりますが、低速な歩行であれば速度の精度は悪くなると考えられます。

一方、自動車の速度計の精度が悪い(実際の速度よりたいてい速い)のは、車検場において自動車の速度計が40km/hのときに、計測した速度が31.0km/h以上42.5km/h以下の範囲にあるものを合格としているからです。安全を考えて速度計の数値が実際よりも速く表示されるようになっているようですね。