今回の旅はタイムゾーンが次々に変化し、最終目的地のクック諸島は日付変更線までも越えるので、GPS電波時計は便利なのではないかという期待がありました。ところが、現実にはこの時計はほとんど使い物になりませんでした。
最初にバンコクの空港に到着して乗り継ぎがあるのですが、空港の窓際(ガラスの壁際)へ行ってもGPSの電波を受信してくれませんでした。窓際(ガラスの壁際)では上空の半分が遮られているので、GPSの電波を受信するのは困難であることはわかっています。とはいっても、タイムゾーンが変わる現地空港でGPSの電波を受信できないというのは致命的な弱点だと思いました。
今回旅をしていて気づいたのですが、空の開けた場所というのは空港の建物内はもちろん、空港の建物を出てからもそう簡単にはありません。雨に濡れないようにバスやタクシー乗り場や駐車場へ続く通路にはたいてい屋根があるからです。これではタイムゾーンの切り替えが最も必要な現地空港で切り替えるのが困難ということになってしまいます。
乗り継ぎの場合は次のフライトに遅れられないので時計を現地時刻へ合わせることが特に重要なのですが、空港建物内の窓際(ガラスの壁際)でもGPSの電波が受信できる確率は今回の旅では50%くらいでした。
日本に帰国してからも大きな問題にぶつかりました。バンコクを出て羽田空港に到着したのですが、窓際(ガラスの壁際)では何度やってもGPSの電波を受信できませんでした。幸い、日本では地上電波受信(標準電波)による時刻の補正ができますが、それも使えませんでした。
マニュアルによれば、この時計は夜間(午前12時から午前5時)に一定間隔で標準電波の自動受信を行い、それ以外の時間には標準電波を受信できません。結局、米子空港の屋外駐車場に出るまで、この時計を日本時間に戻すことはできませんでした。
ちなみに、この「午前12時」という表現には問題があると思います。深夜0時のことを言っているのだと思いますが、日本では午前0時と言うべき時間です。詳しくはこちらをご覧下さい。アメリカでは「午前12時」ですけどね。時計のマニュアルがこんなことでいいのでしょうか?
ところで、この時計には機内モードという設定があるのですが、ANAのルールでは「通信用の電波を発する状態にある通信機器」だけが出発から到着までの間に使用が禁止されています。このGPS電波時計は電波を受けるだけで発するわけではないので、ANA以外の多くの航空会社でも機内モードは必要ないはずです。
このGPS電波時計は「世界初、GPSハイブリッド電波ソーラー。」として日本国内のみならず海外でも大々的に宣伝されています。しかし、この広告の「屋内や悪天候など衛星を探知できない場所や環境では、地上電波受信に自ら切り替わる世界初のシステム。」はおかしいです。
GPS というのは全天候型のデバイスです。悪天候で使えなかったら船も飛行機も自動車も困るでしょうね。しかし、実際にそんなことはありません。
「地上電波受信に自ら切り替わる」が間違っていることは上にも書いたとおりで、深夜しか標準電波は受信できないので、それ以外の時間帯に帰国すると空港内では日本時間に戻すこともできません。(手動でタイムゾーンを動かすことはできます。)できもしないことをできると言い、しかもそれを「世界初」などと書いているトンデモ広告だと思いました。
この時計を実際に使ってみた印象は、針がぐるぐる回るギミックのおもしろさだけで、実用性に関してはゼロと言っていいほど何もないということです。GPSがほとんど役に立たないし、標準電波もろくに使えないし、アラームをセットするだけでも非常に操作が難しく、しかも上記のような誇大広告には驚きでした。
GPS電波時計に未来がないわけではありませんが、例えば空港の窓際(ガラスの壁際)では確実に時間の補正ができるようにする、標準電波を時間にかかわらず手動受信できるようにするといった性能の改善は必須だと思われます。
標準電波は一日6回(中国は5回)受信可能ですよ
返信削除改善点は尤もだが、あなたも商品を不当に貶めているのでは?
標準電波についてはカシオにも電話で確認しています。
返信削除カシオの時計は特にデザインが大好きなのですが、ここにも書かれているように「新機能をハード側に実装するとほぼ使い物ならない」というのは同社の致命的な弱点です。
http://lunaluna302.blog.fc2.com/blog-entry-464.html
カシオのGPS性能があまりに低いので、最近は「GPSハイブリッド 電波ソーラー」を名乗り、再び標準電波に軸足を移しているように見えます。GPSは「おまけ」です。