2013年12月19日木曜日

準天頂衛星を使ってみるテスト

準天頂衛星を使うGPSレシーバー(GNSSレシーバー)が最近急速に増えてきて、Panasonicのカーナビなどにも搭載されています。しかし、こういうのはほとんどすべて準天頂衛星の補完機能(天頂方向のGPS衛星が一つ増えるだけのもの)で、これを受信したからと言って別段測位精度が向上するわけでもありません。それなのに、準天頂衛星対応などと大きくアピールしているような製品はいんちきくさいなと思わずにはいられないです。

準天頂衛星の補強機能(測位誤差を補正するもの)を備えたものがないかと思っていたのですが、L1-SAIF信号を受信できるGPSレシーバー(コア社製)を2台購入することができました。これは下の写真のようなもので、USBからNMEAのデータを出力し電源の供給を受けるだけという秋葉原でパーツを買ってきて組み立てただけのようなものです。


このGPSレシーバーを大学のそばの菅田公園にある三角点に持って行って精度検証を行いました。1台は準天頂衛星あり、MSASなし、もう一台は準天頂衛星なし、MSASありという設定です。この場所の上空はほぼ完全に開けていて受信環境はとてもいいです。


測位を行ったのは2013年12月19日10時8分40秒から10時22分11秒という短い時間です。データは1秒間隔で取得しています。本当はもう少し長かったのですが、前後のデータをカットしてこのようになっています。準天頂衛星、MSASとも受信率は100%です。

結果はどうだったのかというと、MSASの誤差が真の座標値からの距離で1.73m、一方準天頂衛星の方は1.93mでした。準天頂衛星がMSASよりも精度が悪かったというのは残念です。

しかし、これをもって準天頂衛星の補強機能はMSAS以下だと断定するのは早すぎます。測位時間はそんなに長くはないし、アンテナを並べて置いているので厳密には同じ位置で測位したわけではないし、誤差も違いがほとんどないからです。測位精度はほぼ同等だったというくらいが結論としては妥当でしょう。

森林内でどういう結果になるかはまだわかりませんが、MSASは仰角が低いので樹木の幹が障害となって受信率が上がらないことが多々あります。一方、 準天頂衛星は天頂方向にあるので、葉や小さな枝くらいしか障害になるものがなく有利です。どういう結果になるか非常に楽しみです。

0 件のコメント:

コメントを投稿